映像制作・動画制作のコラム
2024年9月24日
【7ステップ】CM制作の流れや必要費用の相場や内訳について詳しく解説
幅広い層に商品を訴求できるテレビCMは、いくつもの工程を経て完成します。CMがテレビで放映されるまでには、長い時間と多くの費用を要します。そのため、効果的なCMを制作するには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
この記事では、CM制作にかかる期間の目安や制作の流れ、制作費用と放映にかかる費用などについて解説します。
目次
CMの制作にかかる期間は2〜3カ月
1本のCMが完成するまでには、少なくとも2~3ヵ月程度の期間が必要です。CM制作にはいくつもの工程があり、絵コンテや脚本が決まるまでに約1ヵ月、撮影から仕上げまでに1ヵ月半~2ヵ月程は要するためです。
CM制作の形式は、静止画、アニメーション、実写に分類されます。静止画はナレーションや音楽を付けるタイプで、1ヵ月程度で制作できることもあります。
一方、制作に時間がかかるアニメーションや実写は、最低でも2ヵ月程度を要すると考えておきましょう。
内容によって制作期間は異なりますが、余裕をもって2~3ヵ月くらいかかると見ておくとよいでしょう。
【7ステップ】CM制作の流れ
テレビCMは以下の7ステップで行われます。
それぞれステップごとに解説をします。
ステップ1.打ち合わせ
CM制作におけるファーストステップは、どのような方向性のCMを作るのか関係者で打ち合わせ(ブリーフィング)をすることです。
CMの内容の打ち合わせは、広告主と、CM制作会社、広告代理店の3社で行なうケースが多いでしょう。広告主が求めるCMを制作するため、3社で以下の内容を打ち合わせして決めていきます。
- ●広告主がCMを打ち出す理由
- ●ターゲット層の属性(年齢や性別など)
- ●CMで訴求したいもの(商品やサービス)
- ●CMに期待する効果
- ●広告主企業のブランドイメージ、商品やサービスに関する説明
打ち合わせを綿密に行なう目的は、関係者間でイメージにズレを生じさせないためです。また、最適な時期にCMを打ち出すため、CM制作のスケジュールのイメージも共有します。
商品に関するCMを制作する場合は、商品直接型なのか、商品間接型なのかという点も、打ち合わせの段階で明確にする必要があります。
商品直接型とは商品の特徴や魅力を強調して伝える手法、商品間接型とはストーリー仕立てで商品を間接的にアピールする手法です。ほかにも企業のメッセージ伝える手段として理念直接型や、理念間接型もあります。
ステップ2.企画作成
打ち合わせの内容を踏まえて、制作するCMの方向性を決めていきます。打ち合わせではイメージを共有するだけでしたが、企画作成の段階では具体的な案に落とし込みます。
企画作成の段階では、CM制作の工程に携わる担当者も参加します。CM制作に携わるクリエイターは、クリエイティブディレクターやCMプランナー、コピーライター、アートディレクターなどです。
この段階でCMのイメージを細部まで固めることができれば、その後の作業がスムーズに進みます。
広告主の伝えたいことが正しく伝わる企画になっているか、ターゲット層や伝えたいメッセージと合っているかなどを確認することが重要です。
ステップ3.絵コンテ制作
作られた企画をもとに、CMプランナーや制作ディレクターが絵コンテを制作します。
絵コンテは、撮影や編集などの指針となる台本のようなもので、各カットごとに手書きのイラストなどを用いて制作されます。シーン別のカメラワークやセリフ、演出を記述するほか、そのシーンで使う秒数なども細かく指定するのが一般的です。
なお、一般的には複数の絵コンテを制作し、広告主が選びます。
一度CM制作に入ってしまうと、内容を変更するのは非常に困難です。
絵コンテの段階であれば変更できる余地があるため、絵コンテのチェック時は、希望する内容に沿っているかを入念に確認し、完成時の映像と大きな差が出ないようにすることが大切です。
ステップ4.キャスティング
次にキャスティングです。人や動物などを作品に登場させるのであれば、CMに出演するキャストを決定します。CMを通じて、ターゲット層が製品やサービスを利用しているイメージが思い描けるキャストを起用しましょう。
ターゲット層が主婦ならママタレント、女子中高生ならアイドルなど、ターゲット層の好みに合うタレントを起用するとよいでしょう。
ステップ5.撮影
CMを撮影する前に、撮影場所の選定や使用の許可どり、キャストなどの日程調整、撮影機材の準備などを行ないます。撮影場所を事前にロケハン(下見)をするケースも少なくありません。
CM撮影の撮影方法は、スタジオ撮影とロケーション撮影、ロケセット撮影の3種類です。それぞれの撮影方法によって、以下のような特徴があります。
撮影方法 | 特徴 |
スタジオ撮影 |
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ロケーション撮影 |
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ロケセット撮影 |
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なお、撮影方法を問わず、撮影現場には広告主が立ち会うのが基本です。
ステップ6.編集
CMの撮影後は、仮編集と本編集の作業に移ります。仮編集と本編集の違いは次のとおりです。
仮編集 |
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本編集 |
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本編集で本格的なCMに仕上げるため、仮編集では体裁を整える程度の編集にとどめます。
また、仮編集では、広告主の立ち会いで試写を実施し、要望に応じて修正や変更を行います。その後、仮編集を広告主が再度チェックして許可が出たら、本編集に移行するのが流れです。
ステップ7.考査・放送枠の決定
CMの完成後、テレビで放映する前に素材考査を実施します。
素材考査とは、放送倫理や法令、放送基準などを遵守しているか審査するものです。素材考査が完了しないと、テレビCMとして放送できません。
素材考査はテレビ局ごとに実施する必要があるうえに、考査の結果が出るまで2週間~3ヵ月程度かかります。
また、考査の結果が出る前に、どの時間帯、どのテレビ局でCMを放送するか予算をもとに決める必要があります。ターゲット層が多く視聴する時間帯を選べば、求めていたCMの効果が期待できるはずです。
テレビCM制作・放映にかかる費用相場・内訳
内容にもよりますが、テレビCMの制作費用は最低でも100万円以上はかかると見ておくとよいでしょう。もちろんCMの撮影方法や撮影場所、タレントの起用の有無など、条件によって制作費用は大きく変わります。
CM制作にかかる費用の内訳、費用の相場について解説します。
企画・プランニング費用
企画・プランニング費用とは、全体的なCMの構成や内容を決める際にかかる費用のことです。
CM制作のプランニングでは、広告主が狙うターゲット層やアピールしたい内容、予算配分、競合他社との差別化など、さまざま要素を考慮して構成を決定します。
構成の完成後は、撮影場所となるロケ地の選定、撮影スケジュールの作成、出演者のアサイン、音源の準備など、さまざまな工程が発生します。
なお、企画・プランニング費用の相場は、一般的に10万~30万円程度です。
出演料
テレビCMにタレントを起用する場合、キャスティングと出演料が発生します。費用の相場は数十万円~数千万円と幅が広く、起用するタレントや契約期間によって大きく金額が変動します。
CMに出演するタレントの出演料は、1クール(3ヵ月)ごとに契約することが基本です。年間契約を結んだりすると、費用が数千万円にのぼることも少なくありません。
著名なタレントは、当然ながら高額の費用がかかります。予算の範囲内で起用でき、ターゲットに訴求が期待できる出演者を入念にリサーチしてから選ぶことが重要です。
撮影料
CM素材を撮影する際に発生する撮影料の内訳は、スタジオのレンタル代、カメラマンなどのスタッフクルーの人件費、使用する撮影機材が挙げられます。
CMの撮影料は、20万円~80万円程度が相場です。ただし、使用する機材や撮影場所など、CMの内容によって撮影料が変動します。
クオリティの高い映像を撮影するため、高スペックのカメラや撮影用ドローンを使用することもあります。また、海外でのロケーション撮影など、内容にこだわるほど撮影料が高くなります。
撮影料を安く抑えたいときは、撮影に携わるスタッフを減らす方法があります。出演者とカメラマンだけで撮影できる内容にしたり、アニメーションやCG、イラストを使用したりすると抑えられるケースもあります。
編集費用
撮影した素材をCMにするには、不要な部分をカットしてつなぎ合わせたり、テロップを入れたりする編集作業が必要です。編集作業にかかる費用の相場は、15万円〜40万円ほどです。
なお、編集後の映像にナレーションや効果音、音楽を入れて調整するMA作業も必要です。また、JASRAC(日本音楽著作権協会)が管理する音楽を使用する場合は、別途で利用料がかかるので注意しましょう。
CM放映料
CM放映料とは、テレビでCMを流す際に発生する費用のことです。放送局と時間帯、視聴率によって変動します。放送局が関東の局地上波の場合、15秒CM1本の放映料は30~100万円程度です。関西の地上波で4~25万円程度、地方の独立局で1~4万円程度が相場です。
ただし、CMを放映する方法には「スポットCM」と「タイムCM」があり、方法によっても費用が変動します。2つの放映方法の特徴は次のとおりです。
スポットCM |
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タイムCM |
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なお、スポットCMにおける15秒CMの1本あたりの放映料は、関東の地上波で30万円~100万円、東海で4万円~12万円程度、関西で4万円~25万円程度です。
タイムCMに関しては、契約内容により1ヵ月あたりの費用が50万円〜数千万円以上と大きな差があります。
押さえておきたいCM制作のコツ5つ
CMを制作する際に、知っておいてほしい5つのコツについて解説します。
1.企業イメージを明確にする
テレビCMを通して、企業やブランドのイメージを視聴者に広く伝えることが可能です。そのため、CMを制作する前に、広告主である企業やブランドのイメージを明確にすることが大切です。
CMの内容と企業や商品のイメージが異なると、視聴者に刺さらないCMになってしまいます。
広告主が考える自社のイメージと、市場が持つ企業のイメージを確認し、的確なアピールポイントを考えることが大切です。
2.差別化ポイントを明確にする
競合他社とCMで差別化を図るには、自社ならではの強みや、市場におけるポジションを確認することが大切です。業界の上位に位置する企業と比較し、自社だけが持つ強みをCMで打ち出すことで差別化につながります。
3.CMのルールを把握する
テレビで放映するCMは、ルールに則って制作されています。CM制作における代表的なルールは、以下のものが挙げられます。
- ●CMの開始後と終了時の0.5秒間には音を入れない
- ●CMの開始・終了時に、3秒間程度の放映されないカットがある
- ●日本民間放送連盟放送基準に準拠する
- ●景品表示法などの法律に遵守する
CMにはさまざまな法律要件が適用されるため、法的なリスクを回避することが大切です。
また、テレビでCMを放映する際、同じ番組内で競合他社のCMを放映しないことは基本的なルールです。
4.伝えたいメッセージを1つに絞る
CMは15秒~30秒という限られた時間で商品やブランドの魅力をターゲット層にアピールしなければなりません。そのため、情報をいくつも盛り込むのではなく、CMで伝えたいメッセージは1つに絞ることが重要です。
複数のメッセージを入れると、何を伝えたいCMなのか視聴者に正しく伝わりません。メッセージの印象も薄くなるため、ターゲット層に何が刺さるのか、会議で決めておくことが大切です。
5.制作会社との打ち合わせを念入りに行う
広告主とCM制作会社の間で、綿密に打ち合わせを行うことも大切です。
まずはCM制作の予算を立てたうえで、広告主としてCMに対する希望を正確に伝えましょう。CMの全体的イメージや発信したいテーマ、CMに求める効果、放映の時期やスケジュールなどが挙げられます。
なるべく制作工程の巻き戻りが起こらないように、具体的に内容を詰めていくことが大切です。
まとめ
1本のCMが完成するまでには、7種類もの工程が必要です。また、CMをテレビに放映する場合、多くの費用がかかります。大きな労力とコストが必要となるため、理想のCMとなるようにCM制作会社と綿密な打ち合わせを行ない、希望をしっかりと伝えましょう。
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