映像制作・動画制作のコラム
2024年7月16日
ライブ配信とはどのような配信方法?メリットや活用事例を詳しく解説
近年、コロナ禍による外出自粛の影響により、リアルタイム映像を配信できる「ライブ配信サービス」が注目を浴びています。企業のなかには、会社説明会やセミナー、入社式などにライブ配信を導入する例もあり、幅広く活用されています。
ライブ配信は便利であるものの、配信時にトラブルが発生するリスクがあるため、利用前に基本的な仕組みや活用方法を理解しておくと安心です。この記事では、ライブ配信の基礎知識を解説したうえで、ライブ配信のメリットや具体的な活用例、配信時の注意点を紹介します。
目次
ライブ配信とは
ライブ配信とはインターネット回線を利用して、映像・音声をリアルタイムで視聴者に届けるサービスのことです。ライブ配信の開始前に、仕組みや必要機材を把握しておくと導入がスムーズです。
リアルタイムで動画を配信すること
ライブ配信は、地上波とインターネットという違いがあるものの、不特定多数に向けてリアルタイムの映像を届けられる点では、テレビの生放送と同じといえます。ライブ配信を無料で視聴・配信できるサービスは増加傾向にあり、企業・個人関係なく、誰でもライブ配信を楽しめるようになっています。
ライブ配信はパソコンやスマートフォンなどのデバイスがあれば、場所を選ばすに視聴できる利便性があり、多くの人が利用しているサービスです。
ライブ配信には2つの配信方法がある
ライブ配信には「オープン配信」「クローズド配信」の2種類の配信方法があります。
オープン配信とは、誰でも視聴できる配信であり、動画配信サービスにおける一般公開に該当します。
クローズド配信は、限られた人だけが視聴できる配信のことです。視聴するためには、配信先のURLやパスワードが必要です。
次のように用途に応じて配信方法を使い分けることで、ライブ配信の利便性が大きく向上します。
<オープン配信>
- ●入社式などの式典
- ●スポーツやコンサートなどのイベント
- ●新商品の展示会や発表会
- ●新卒採用の会社説明会
<クローズド配信>
- ●学校の授業
- ●セミナー
- ●朝礼や勉強会、社内研修などの社内活動
- ●会員特典のコンテンツ
ライブ配信に必要なもの
ライブ配信を行なうためには、YouTubeや専用のライブ配信専用アプリをインストールしたパソコンやスマートフォンが必要です。ライブ配信は、パソコンやスマートフォン、マイク付きのイヤホンがあれば、すぐにでも開始できます。ただし、画質や音声などの質を高めたい場合は、ライブ配信に適した機材の用意が必要です。
ライブ配信に必要な機材や設備は、以下のとおりです。
- ●パソコン
- ●カメラ
- ●三脚
- ●照明
- ●マイク
- ●ミキサー
- ●キャプチャーボード
- ●インターネット環境
パソコン
ライブ配信は、撮影と配信を同時に処理する仕組みです。高品質なライブ配信をするためには、高負荷なデータを処理できるパソコンが必要です。
カメラ
撮影するカメラは、Webカメラ・ノートパソコンの内臓カメラ・デジタルカメラなどが選択肢に挙げられます。高画質で撮影したい場合は、調光やズーム機能が備わっているビデオカメラの利用がおすすめです。
三脚
カメラを手持ちで撮影すると、映像がぶれてしまうことがあります。三脚を使用すると手ブレ防止に役立ちます。
照明
照明は画質の向上や色・明るさの調整ができます。視聴者が見やすい映像を撮影するために準備しておくとよいでしょう。
マイク
マイクは「ダイナミックマイク」「コンデンサーマイク」と2種類に大別されます。
ダイナミックマイクは集音範囲が狭く、周囲の雑音を拾いにくいため、ライブ配信に向いています。
コンデンサーマイクは集音範囲が広く、ダイナミックマイクよりも感度が高いことが特徴です。
ただし、感度が高いと室内の反響音や空調音、家電などの雑音まで収音されてしまう可能性があるため、使用には注意が必要です。配信専用のスタジオがあるなど「配信環境が整っている」条件下であれば、良質な音でライブ配信ができます。
ミキサー
ミキサーとは音量・音質を調整し、音声を聴き取りやすくする機材です。2人以上で配信する機会が多い場合、ミキサー導入をおすすめします。
キャプチャーボード
映像をパソコンに取り込む際に必要になる機材が、キャプチャーボードです。パソコンに直接データを送れないカメラもあるため、用意しておくと安心です。
インターネット環境
ライブ配信では、通信速度が安定したインターネット環境が必要です。通信速度が不安定な場合、音声がずれたり、途中で映像が止まったりするリスクがあるためです。安定したインターネット環境を整えるには、有線LANかつ高速通信ができる光回線の利用がおすすめです。
オンデマンド配信との違い
オンデマンド配信とは、録画・編集した動画をサイト上に投稿し、サイト利用者に視聴してもらう方法です。ライブ配信との違いは、ライブ配信は編集されていないリアルタイムの映像であり、オンデマンド配信は収録・編集された映像という点にあります。配信するコンテンツや、配信目的によって使い分けることが重要です。
ライブ配信を行なうメリット
ライブ配信のメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。この章では、ライブ配信をするメリットを紹介します。
最新の情報を最速で伝えられる
オンデマンド配信は動画の制作から公開まで時間がかかるため、公開までの間に変化した情報までは対応ができません。
一方、ライブ配信はリアルタイムの映像を配信するため、最新の情報や緊急性のある情報を最速で伝えられるメリットがあります。
双方向のコミュニケーションができる
ライブ配信は、視聴者・出演者の双方向のコミュニケーションが取れる点がメリットです。
例えばWebセミナーにおいては、視聴者はいつでも質問が可能なため、疑問点をすぐに解消できます。
配信者側は、質問内容を通してリアルタイムで視聴者の理解度や関心を確認できるメリットがあります。質問に対して補足説明することで、セミナーの理解度が高まる効果も期待できるでしょう。
双方向のコミュニケーションによって、配信に一体感が生まれやすくなるだけでなく、リアルタイムで意見交換することで臨場感も得られます。
配信コストを抑えられる
ライブ配信に必要な最低限の機材は、スマートフォンとマイク付きイヤホンです。オンデマンド配信と異なり編集する必要がないため、機材費や制作費などの配信コストを抑えられます。さらに、自社スペースを撮影場所に活用することで、会場費や設営人件費、出張費なども削減可能です。
多くの人が参加できる
ライブ配信は来場する必要がなく、デバイスがあればどこからでも参加可能です。そのため、会場イベントよりも多くの人が参加できるメリットがあります。
また、ライブ配信者から視聴者の顔が見えない点も、参加しやすい要因の一つです。顔が見えないため、聞きにくい内容でも質問しやすい環境となっています。
ライブ配信の活用例
ライブ配信は、ビジネスの場においてどのように活用されているのでしょうか。ここでは、ライブ配信の活用例を4パターン紹介します。
採用説明会(会社説明会)
ライブ配信を活用した採用説明会は、次のように企業と求職者の双方にメリットがあるため、ライブ配信を導入する企業が増加傾向にあります。
求職者 | 企業 |
●説明会の会場に行くまでの時間と費用を削減できる ●遠方の企業の説明会に参加できる ●給料や離職率など、質問しにくい内容が聞きやすくなる |
●会場費、人件費、印刷物などのコストを削減できる ●参加者が集まりやすい ●チャットツールの利用で、求職者とのコミュニケーションが取りやすい |
岡山県では新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、職員採用説明会をSNSのライブ配信にて行ないました。岡山県職員の採用説明会は、例年300人弱の参加者でしたが、ライブ配信による採用説明会では、合計437人が視聴しており、実際に参加者が増加しています。
セミナー・講演会
セミナーや講演会をライブ配信で行なう例も、増加傾向にあります。Web上でセミナーを実施するため、「ウェビナー」と呼ばれることもあります。
ライブ配信は会場に行く必要がないため、多くの参加者を集めやすい傾向にあります。自社製品を多くの人にアピールできる環境が作れるだけでなく、その場で質疑応答が可能であり、自社の商材に対して関心度が高い参加者に向けてアプローチも可能です。
次の動画は、セミナーをライブ配信した映像です。セミナーの内容に共感した人に向けてオンラインサロンの活動情報も同時に説明し、アプローチの場として活用されています。
自社イベント
入社式や表彰式といった社内のイベントをライブ配信し、社員だけでなく視聴者も楽しめるよう工夫している企業もあります。
例えば、三重県鳥羽市にある鳥羽水族館では、水槽の中で入社式を行なうユニークなイベントを開催しました。
誰でも視聴できる環境でライブ配信を行ない、鳥羽水族館の来場者だけでなく、多くの人に興味・関心を持ってもらえるよう工夫されています。
商品販売
ライブ配信とECサイトの商品販売を組み合わせた「ライブコマース」は、日本では知名度が低いものの、中国では一般的となっている商品販売方法です。
視聴者は、商品紹介をする出演者に対してリアルタイムで商品への質問が可能です。自宅にいながら実店舗で接客を受けているような、臨場感のある購入体験を味わえます。
日本においても、ライブコマースを取り入れる企業が増加傾向にあります。配信者は、商品に詳しい自社社員や知名度で販売促進を行なえるインフルエンサーが起用されています。
インフルエンサーを起用する場合は、インフルエンサーのファン層のニーズが自社製品に合致するか見極めることが大切です。
ライブ配信を行なうときの注意点
ライブ配信時には、以下のポイントに注意が必要です。事前に注意点を把握しておきましょう。
配信トラブルが起こる可能性がある
ライブ配信中に、機材や回線の不具合によって映像が止まる、声が聞こえないなどのトラブルが起こる可能性があります。トラブルを迅速に対処するためには、自分でカバーできる範囲の対処法を学ぶことに加え、専門知識を有する技術者の人材確保が必要です。
ネットワーク技術は専門性が高いため、技術者の力を借りることでトラブルをスムーズに解決できます。また、ライブ配信はリアルタイムの映像を配信するため、不適切な発言でトラブルに発展するケースは少なくありません。トラブルを想定したリハーサルをすることが大切です。
機材や設備環境を整える必要がある
ライブ配信を行なう目的や規模に応じて、配信に適した機材や設備環境を整える必要があります。
例えば、顧客向けセミナーを行なう場合に、映像や音質が安定しないノートパソコンの内臓カメラ・マイクの使用は、あまり適していません。ライブ配信が中断するなどのトラブルが発生してしまうと企業ブランドのイメージダウンにつながるリスクがあるため、専用カメラやマイクを用意し、安定したライブ配信ができるよう配慮が必要です。
ただし、機材や環境を整えたとしても、高品質なライブ配信をするためには専門知識が必要です。機材を使いこなす知識や技術がない場合は、ライブ配信の代行業者に依頼することも一つの手段です。
視聴者に時間を合わせる
ライブ配信はリアルタイムの視聴のため、参加者が配信時間に間に合わず視聴できないケースは少なくありません。多くの人に視聴してもらうためには、ターゲット層が参加しやすい曜日や時間帯を狙って配信する必要があります。
2021年3月に株式会社Jストリームが実施した「製薬会社主催の講演会に関する医師へのアンケート調査」によると、約6割が平日夜(19時~22時台)、約3割が平日夕方(16時~18時台)を参加しやすい時間帯と回答しました。
Web講演会の場合は、平日の夕方以降であれば比較的参加しやすいといえます。
なお、社会人を対象にしたセミナーの場合、平日の20時以降や土日など、就業時間に被らない時間帯にするとよいでしょう。
また、ライブ配信アプリ(17LIVE)が実施した「配信を一番見る時間帯」のアンケート調査によると、全体の約7割が「20時~23時」と回答しています。多くの参加者を集うには、20時以降の時間帯が狙い目です。
出演者に高いスキルが求められる
ライブ配信のクオリティは映像や音声の質だけでなく、出演者のトークスキルやコメントの対応力でも左右されます。ライブ配信はリアルタイムで配信されるため、編集ができません。
円滑な配信を行なうには出演者の高いスキルが必要です。ライブ配信では、不要な部分や不適切な発言があった場合でも編集できないリスクがあります。出演者を選ぶ際には、ライブ配信の経験のある人材を選ぶと安心です。
まとめ
ライブ配信は、採用説明会や新商品の発表会、講演会、セミナー、ライブコマースなど、さまざまな用途に使用されるサービスであり、多くの企業が導入しています。
ライブ配信の活用は、集客増加やコスト低下など多くのメリットがあるものの、インターネット回線を利用するため、機材や配信トラブルが起こるケースがあるため、導入には注意が必要です。
高品質な映像を届けるためには、映像のプロに相談・依頼することも一つの手段です。Shibuya Movieであれば、クオリティの高い映像を制作可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。